シンプレクスってどんな会社?評判から仕事内容、採用情報、年収、待遇まで徹底研究!
今回はシンプレクス株式会社を徹底研究します。
金融系SIerとしては大手のシンプレクス。体育会系との噂も名高く、意識の高い社員が多いと聞きますが、実際にはどうなんでしょうか?
シンプレクスの顧客から、どうのように社内のカルチャーが構成されているのか、仕事の内容から年収まで、徹底研究します!
シンプレクスってどんな会社?
金融系SIer
SIerを分析する際は、お客さんがどんな人か?を調べるのが最も効果的です。まずはシンプレクスのお客さんを見ていきましょう。
シンプレクスの主要顧客は、証券会社、銀行、保険会社など、金融機関になります。顧客である金融機関に対し、トレーディングシステムをSIで構築し運用している会社です。海外では「債券の発注システム」など特定の金融商品の特化型のシステムも多いですが、シンプレクスのシステムは金融商品はほぼ全てカバーしています。最近では仮想通貨も対応しています。
規律を重んじる
シンプレクスのカルチャーを表すキーワードの一つ目は「規律」です。社員一人ひとりの向上心が高く、チームが規律を持って動けるのが一番のポイントでしょう。メンバーのほとんどがハードワークな部署もあり、社内外から「軍隊」と呼ばれることもしばしば・・・。
これは、サービスを提供する組織としては非常に有利に働くポイントです。よく、SIerでも色んなビジネスでも、担当者が変わってサービスが悪くなったと感じるようなことは多いです。規律が整っている会社では、担当者によって品質が変わるということが起きにくく、安定したサービスを提供することができます。
ただ、一概に規律と言っても、部署やチームによるところは大きいです。新規営業をかけていくチームもあれば、保守開発をひたすら継続していくチームもあります。ので、ケースバイケースであることは理解しておいてください。
コミットメント重視
全社的に規律を重んじるという文化に加え、担当役員のトップダウンの影響力が強いという特徴もあります。
SIerのビジネスは、顧客それぞれにシステムを構築し提供するというモデルです。そのため、システムを作るというものづくりのノウハウは全社で共通していても、顧客ごとに異なる要求に応えていかなくてはならず、実際のプロジェクト運営や経営の方法は部門により異なります。そのため、SIerは、各事業部が独立した中小企業の集まりのような雰囲気も持っています。
結果として、各事業部の担当役員の色が濃く出やすいということがあります。シンプレクスも例外ではなく、担当役員の「キャラ」によって、仕事のやり方や求められる品質レベルが大きく変わってきます。各社員は、チームや部署、ないしそのトップに立つ担当役員へのコミットメントが強く求められます。
なぜそんなに体育会系なのか?
SIerを見るときは顧客を見るべき、とお伝えしましたが、シンプレクスが体育会系である背景にも、顧客が金融機関であるということが関係していそうです。
金融系ソリューションは、とにかく顧客と二人三脚という傾向が強いです。シンプレクスに限らず、金融業界は「装置産業」とも呼ばれるほど、他の業界に比べITの活用幅が広く、また深いです。金融事業は制度も複雑ですし、1円たりとも間違ってはいけないという正確なオペレーションが求められることから、システムに対する品質目標も高く、障害発生時のサポートなど24時間365日体制で望む必要があります。これが体育会系と呼ばれる理由の一つと考えられます。
とはいえ、実際には顧客の属性によってカルチャーは様々です。顧客である金融機関の内部も、扱う金融商品によってそのカルチャーを形成しています。
株式部門の雰囲気
たとえば、株式のトレーディング部門は軍隊なイメージが強いです。今やすべての取引が電子化されましたが、その昔は、株式市場という場があり、そこで参加者が群がって板を見ながらあーだこーだ注文していたわけです。漁港のせりをイメージしてもらえば比較的近いかもしれません。
FXは24時間取引ですが、株式市場には開始時間(寄り)と終了時間(引け)がかっちり決められているのも特徴です。そういったこともあり、ほぼ全てがシステム化、電子化された現在においてもその寄り合いのカルチャーが残っているのだと思われます。
また、株式部門は顧客に個人が多いということも関係しています。金融機関の個人向けサービスは、お金を扱うという特徴から、信用問題になるので決して間違ってはいけないというマインドがあります。たとえばシステム障害で口座情報にアクセスできない、口座残高の表示が誤っていた、となった場合、もし顧客がそれが原因で大損してしまった場合、もしくは大きな機会損失をしてしまった場合、誰が責任を取るのでしょうか?もちろん、金融機関に顧客の損失を補填する責任は通常ありませんが、信用を失ってしまえば客離れを引き起こすリスクもあります。
そうならないように、特に株式部門については、大金を払ってでも高品質なシステムを作るべきだというカルチャーがあり、顧客もシステムについてはかなりシビアに見ています。
FX・債券・デリバティブ部門の雰囲気
一方、FXや債券、デリバティブ部門については、株式部門とは雰囲気が異なります。FXや債券部門も、個人の顧客はいるわけですが、大部分を占めるのは法人の顧客です。たとえば年金基金やファンドなどの機関投資家が、証券会社の顧客になります。そうすると、仮に少しのエラーが出たとしても、次の取引で調整することも可能ではありますし、法人同士で取引回数も多いので、そこはお互い様という側面もあります。
また、FXや債券、デリバティブは、株式に比べ商品が非常に複雑です。FXは簡単に見えますが、為替の値動きに影響を与えるファクターは無限にありますし、債券は金利を用いて現在価値を算出したり、仕組債といった複雑な商品もあり、扱っている人は体育会系でオラオラというよりは、眼鏡でインテリなイメージです。
また、取引時間帯も24時間となり、時間帯によるピークなども少ないです。唯一、月に数回ある雇用統計など重要な指数の発表日にはピリピリしているということはありますが、それ以外は比較的おだやかです。
上記のように、システムを作るチームも、顧客のカルチャーをそのまま受けていると思われます。
シンプレクスの強み、弱み
強み①システムアーキテクチャー
上記の理由から、シンプレクスは金融機関の非常に高い要求を受けつつも安定したシステムを作ってきた歴史から、システムアーキテクチャーについてはSIerの中では先端を進んでいます。
シンプレクスでは早期から金融APIを作成し効率的に開発していました。例えば株式市場の引け後に特定の指数を取得したり、マーケットに注文を出す際のアルゴリズムなど、複数のプレーヤーで使えるようなものを共通化するなど、高度で効率的な開発を進めて来ました。
最近ではウェブアプリケーションにもJavascriptが使われるようになり、負荷軽減やレスポンス速度の向上のために非同期処理を組み込んだりということが一般的になってきましたが、シンプレクスはJavascriptが流行るずっと前から、高負荷に耐えるために非同期処理のイベント駆動といったアーキテクチャーを開発していました。
金融のバックオフィスについては、野村総合研究所(NRI)など他の競合SIerが入っていますが、金融フロントシステムについては以前からリソースを集中的に投下しシェアを奪って来ました。SIerにおいては、シンプレクスほど高い技術力を持ってフロントエンドを作れる会社はそれほど多くありません。
強み②組織力
それを支える組織も強みの一つです。
シンプレクスは、上記で述べた「規律の取れた組織」と「コミットメント」のカルチャーから、短期間のプロジェクトや、厳しい条件下のプロジェクトにも非常に強いです。
強み③社員の技術力
シンプレクスの開発は自社開発が基本です。
基本的に、外注すると性能や対応スピードは劣化します。シンプレクスは顧客の高い要求に答えるために自社開発を基本としており、相応のスキルを持った社員が開発を担当しています。実際に業務でコードを書いているかに関わらず、社員のほぼ全員がコードを読める、というのも組織としての強みの一つです。
弱み①排他的なカルチャー
一方、弱みとしては、人を選ぶということです。
シンプレクスのカルチャーは、シリコンバレー発のインターネットサービス系の会社のような「オープンコミュニティ」や、エンジニアを主体としチームで相談しながら進めるといった「エンジニアリングカルチャー」、多様性を認める「ダイバーシティ」とは真逆のコンセプトになります。
SIerビジネス自体が、顧客からの請負で開発を行うという側面があり、自分たち発でものづくりを行う会社とはそもそも真逆なのですが、シンプレクスはその中でも排他性が強いと思われます。
このような排他的なカルチャーに、どのくらいの社員がついていけるかということは、事業継続におけるリスクの一つと考えられます。特にトップダウン型組織は、リーダーが変わると途端に機能しなくなるリスクをはらんでいます。
シンプレクスの仕事内容
シンプレクスでの仕事内容は、他のSIerと大きく変わりませんが、仕事の幅は広めです。
顧客提案のようなコンサルをメインにしている人もいますし、いわゆるSIのようなドキュメントを書いてシステムを作っていくというところをきっちりやる人もいます。多くのSIerでは入社4-5年目くらいになるとマネジメントがメインになってしまい、プログラムを書くという業務はあまりできなくなりますが、そういった作業を重視してやりたいと言えばできますし、アーキテクチャーをやっていきたいので上流を担当したいと言えば、させてもらえる文化です。希望者はあまり多くないでしょうが、保守運用を率先してやりたければそれも可能と思われます。
希望は比較的通りやすいということはあるかもしれません。
シンプレクスの働きがいと成長機会
シンプレクスでは、顧客の高い要求に応えるために、社員一人ひとりが自己のITスキルやビジネススキルを高めていく必要があります。そのため、仕事内容も自分の現在の能力よりも1段階、2段階、高レベルなものになっており、短期間で成長したい人にはオススメの職場です。
この高い要求レベルというのは、金融システムという事業ドメインから来ていることなのですが、社員には金融そのものにパッションを持っている人は少ないようです。金融のダイナミズムや、こういったデリバティブが面白いといったベクトルではなく、まさに仕事に対する向上心が強く、成長意欲や知的好奇心が高い人が多いという印象です。そういった社員に囲まれることで、嫌でも自らを律することになり、市場価値は高まるかと思います。
逆に、強いプレッシャーで仕事をすることが苦手な人は、全く向いていない職場だと言えます。
また、プレッシャーが強く成長機会に恵まれているのは間違いありませんが、それがGAFAMなどで通用するようなITスキルが身につくかというと、そういうわけではありません。そこは、あくまでSIer、つまりは請負開発がメイン事業であるため、顧客の要求に対する訴求力は高まりますが、それが必ずしも汎用的な技術力の高まりを意味するわけではありません。もちろん、社員の中には天才的なアーキテクトとしての能力を発揮するような人もいますが、ロールモデルとしては、マイナーな部類になるでしょう。
シンプレクスのワークライフバランス
これまで読んでくださった読者の方であれば、シンプレクスのワークライフバランスは整えられていないと想像がつくと思います。実際、他のSIerに比べると労働時間は長めと思われます。
部署や時期によりけりですが、たとえば朝10時に出社し、20時に退社するというイメージです。これは、従来のSIerではかなり「普通」の働き方です。厳しい状況ですと、朝8時に出社し、夜22時に退社するといった感じでしょうか。もっと厳しいところもありますし、もっとゆるいところもあります。こればかりは、個人の感じ方もあるので、何とも言えません。
少なくとも、雰囲気としては「子供を迎えに行くので帰りま~す」といった感じではないと想像できます。SIer業界に入る人は、9時~5時勤務はほぼあり得ないと考えてください。時期にもよりますが、顧客の要求を満たすために一時的にハードワークになることもあると覚悟して入るのが良いと思います。
ただし、色々なハラスメントが叫ばれるご時世ということもあり、社内のルール等は厳密に定められているはずですので、気になる人は人事部にしっかり確認するようにしてください。
シンプレクスの年収と待遇
新卒で入ると、執筆時点で年収は500万円からスタートになります。その後、確実に実績や経験を積んでいくと、毎年50万円ほど上がる仕組みのようです。
またシンプレクスは年功序列というわけではなく、優秀な社員はグレードをスキップできる制度もあり、評価されれば待遇も加速的に良くなる仕組みになっています。
ただ一般に、SIerでの評価というのは非常に難しい面があることも理解しておいてください。というのも、SIerは顧客の要求を受けてシステムを作るビジネスであり、技術力とは関係なく、顧客が満足すればプロジェクトは完了です。本人の頑張りやスキルとは関係なく、案件の当たり外れが非常に大きいのが特徴です。
すると、良い案件を回してもらおうというインセンティブが働くことになり、それは必ずしも技術力やコンサルティング能力の向上ではなく、上司へのアピールであったり、出世のための政治だったり、そういう側面があることは認識しておく必要があります。
ただ、シンプレクスでは一般的なスピードで出世しても、32~33歳頃には1,000万円を突破するくらいの計算になります。これを早いと見るか、遅いと見るかは、個人の考え方次第です。
世間一般から見ると、やはり高年収の部類になりますが、労働時間は長めですので、投下時間から時給換算するとどうでしょうか。優秀な人からすると、少し物足りないかもしれませんね。
シンプレクスの入社理由と退社理由
そんなカルチャーですので、入ってくる社員というのは、長時間労働はウェルカムだけど早く稼ぎたいとか、そういったタイプが多いです。ハードワークを厭わない意識高い系の新卒が多いと言われています。
また、新卒の入社企業としてはアクセンチュアやNRIなどITコンサル・SIer企業が競合になりやすいです。給料が高く、ハードワークの印象は強いところですね。実際には、アクセンチュアやNRIは大手企業になりすぎて、最近ではもはやハードワークではないとも聞きますが、一部の部署において「軍隊」などと表現される面は否定できないかと思います。
新卒社員は数十人くらい入社し、2年~3年で半分程退社し、5年~6年でもう少し辞めて、最終的に3分の1程が残るイメージです。
退社する人は、エンジニアリングの道に進む人は比較的少なく、PwCやアクセンチュアなどのITコンサルファームにキャリアアップで転職する人が多いようです。前述の通り、シンプレクスは全て自社開発であり開発業務の割合はどうしても多くなりますので、コンサル志向の人にはあまり向いていないかもしれません。
一方、ワークライフバランスを理由に辞める人は割合としてはそれほど多くないようです。恐らく、入るときにワークライフバランスを諦めている人が多いので、人生観として安定志向の人がもともと少ないのかもしれません。
また、最近ではテクノロジーをもっとやりたいという退社理由も増えて来ているようです。そういった方は、AWSなどクラウドベンダー系の会社へ転職するようです。SIerでもアーキテクチャーを考えたり、プロダクトデザイン等が好きな人は、AWS等へ転職し、シンプレクス時代と同じように自社プロダクトを使って顧客のコンサルティングをしたり、といった形でキャリアシフトしていくのだと想像します。
まとめ(ズバリ!シンプレクスのオススメ度)
いかがでしたでしょうか?
ズバリ!独断と偏見によりシンプレクスを評価しますと、「バリバリ働きたい人には良い会社」ということになります。
金融フロント系システムに強いという会社の特徴がありますが、実際には、その側面が評価に強く響くことが少ないので、もし金融を積極的にやりたいのであれば、金融機関に直接入社するのが良いと思われます。
また、年収では、業界の中では高年収の部類に入りますが、やはり労働時間が長くなりがちです。お金儲けが目的であるなら、他にも手段はありそうな気がしますし、外資系のIT会社に入った方が安定はしそうです。
ただ、可能性としてあるのではないかと思うのは、シンプレクス内で非常に優秀であった場合、顧客企業である金融機関からシステム有識者として直接ヘッドハンティングを受けたりということはあるかもしれません。やはり、顧客ドメインの多くが金融であることは間違いないので、顧客もスマートでお金を持っています。金融ドメインをキャリアの一部に据えていることが一つ重要ではないでしょうか(でないと、ただのハードワークな会社に入ることになってしまいます)。