シスコシステムズってどんな会社?評判から仕事内容、採用情報、年収、待遇まで徹底研究!

今回はシスコ(シスコシステムズ合同会社)を徹底研究します。

シスコはネットワーク機器を販売するグローバル企業であり、収益性や安定性が高いのと同時に、ワークライフバランスも整っており、非常にバランスの取れた会社です。

どうせ人気なんだろうな、入社難易度は高いのかと思いきや・・・。実はシスコ、就活においては穴場だと言われたりしています。

シスコは一体どんな会社なのか、詳しく見て行きます。

シスコってどんな会社?

ハードウェアベンダー

シスコをひとことで表現すると「企業向けネットワークインフラのソフトウェアおよびハードウェアを製造販売する米国資本の多国籍企業」です。

ひとことで言えていませんが・・・。

まずキーワードとしては「ネットワークインフラ」「ITインフラ」の会社であるということです。

最近では、ITインフラに関する企業を受ける人はAWSやGoogleなど、クラウドベンダーを受けるケースが増えていますが、シスコはインフラ機器を製造・販売しているという点で、他の大手のネットワークベンダーと根本的に異なります。そのため提供サービスは低レイヤーのものになり、ハードウェアを扱っているレガシーな雰囲気があります。製造・販売って、少し泥臭いイメージがありますよね。

もとを辿れば、シスコはネットワークスイッチとルーターのメーカーとして始まりましたが、WebExを買収したり、セキュリティ関連会社を買収したり、クラウドやアプリケーションなど、事業買収によって製品のポートフォリオを広げて来た歴史があります。

そのため、製品のラインナップや豊富さは群を抜いており、非常に営業力が強いという側面があります。

インフラ、ネットワーク業界ではこの傾向が顕著になってきており、フォーティネット、アラクサラネットワークス、ジュニパーネットワークスなどもM&Aにより事業拡大を進めています。技術的な進歩が速く、企業の統廃合は今後も進んで行くと見ることができます。その点では、シスコのような総合商社的な会社に就職した方が、将来に渡って安定しているということが言えるかもしれません。

クラウドサービスも提供

ハードウェアの製造販売が主力事業ではありますが、時代の流れに合わせ、セキュリティ関連サービスやオンライン会議などのクラウドサービスも提供しています。

オンライン会議ではZoomが有名ですが、シスコも実はコロナ禍になるずっと前からWebExを買収し提供していました。Zoomの創業者エリック・ヤンはもともとシスコのコラボレーション部門で働いていた社員で、ZoomではID登録なしで使えるようにしたり、提供時には45分の無料枠を設けるなど、WebExの不便な点を改善し開発された製品です。

シスコは先見の明はあったものの、やはり大企業。細かな改善や経営のスピードはスタートアップには劣るのかもしれません。

シスコの組織、社風

オープンコミュニティ

シスコの社風をひとことで表現すると「オープンコミュニティ」。

組織のレイヤーはあまり意識せず、平社員がダイレクターやプリンシパルなどの偉い人たちに直接チャットで連絡できるくらいオープンな雰囲気があります。

また、製品についてわからないことがあれば部門をまたいで自由に質問したり、役職をまたいで相談したりなど、全員に開かれたコミュニティが特徴的です。

シスコはサンノゼがルーツで、アメリカの西海岸の自由な空気がベースにあるのかもしれません。

IBMなど他のベンダーから転職してきた社員は、シスコのその自由な雰囲気によく驚くと聞きます。多国籍企業の多くは、リージョンごとにエスカレーションエンジニアと呼ばれる社員がいて、リージョン間のコミュニケーションを束ねていたりすることもあります。

その点、シスコでは社員同士がリージョンを跨いでEnd to Endのコミュニケーションを取ることも普通です。

新卒向けの手厚い研修

シスコは新卒向けのトレーニングが充実しています。

年度の方針にもよりますが、通常は半年から1年程度は配属されず、シスコの認定資格であるCCNA(Cisco Certified Network Associate)やCCNP(Cisco Certified Network Professional)などを取得するための研修を受けられたり、ソフトスキル研修や現場でのOJTなど、トレーニングプログラムが非常に充実しています。

認定資格は技術職だけでなく営業職も全員取得が義務付けられています。CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)を取ると奨励金ももらえるようです。

長いケースでは、4月に入社し、現場への配属が次の年の8月ということもあったようです。

異動届けは「ポチ」で完了

求職者向けにオープンポジションリストをウェブサイトで公開している会社は多くありますが、シスコはそれと似たようなものを社内向けにも公開しています。

社内の検索ツールでは、全てのリージョンのオープンポジションを検索でき、ヒアリングの担当者などを探すこともできます。気になる職種があれば、Applyボタンをクリックで、その後の面談が設定され、受け入れ側のマネージャーが承諾すれば、トントンと異動が決まってしまいます。

一番のポイントは、仮に自分が今いる部署の上司に止められても、異動先の上司が承諾すれば、そちらが優先されます。異動希望を出してもなかなか実現しないのが一般的ですが、非常に風通しの良い組織です(実際には、今の上司に相談をせずに異動を実現させてしまうと禍根が残るので普通の人はしないと思いますが・・・)。

なお、リージョンを跨いだ異動ができるということは、アメリカのシスコ本社の職種にも応募できるということです。実際には、アメリカに行く場合は日本のシスコシステムズ合同会社を退職し、シスコ本体との雇用契約を締結する必要があるなど、多くの手続きが必要になるためハードルは上がりますが、一応そういうことも出来できるということになっています。

そんなシステムなので、上司は常にモニターされています。転職者や異動希望者が多かったり、診断書を出して求職したりする社員が多い部署はすぐに注意が入ることになります。

その他、福利厚生も充実しています。

シスコの弱み

ローカライズ戦略が遅い

シスコはアメリカの会社ですので、アメリカ中心に戦略等を立てて行く傾向があります。そのため、アジア、日本、EUでのローカライズや戦略策定が遅くなりがちという弱みがあります。

特にアメリカ市場においては、シスコはグローバル企業としてブランド力が非常に強いです。日本でも一昔前のパナソニックやNEC、富士通など、世界的なメーカーの商品を日本人がありがたがって使っていましたが、それと同じです。つまり、米国では強い販売戦略がなくてもブランド力である程度売れてしまいます。

一方、日本の顧客は数あるネットワーク機器の中から選んで購入するため、機能やメリット、デメリットといったことを細かく比較、分析し、意思決定をします。そのため、分厚い企画書を作成する必要があったり、顧客に合わせた販売戦略が必要になってきます。

アメリカ本社は日本ローカルのそういった事情を十分に理解しているわけではないので、戦略策定や製品の細かい機能、品質に対してスピード感をもって対応していけるわけではありません。ネットワーク機器は一度購入してインフラを作ってしまうと、入れ替えのタイミングはそう頻繁にあるわけではありませんので、お客さんが比較検討している間に必要な機能を実装できなければ、入札できずに商機を逃してしまい、機会損失になってしまいます。

クラウドやサブスクの波に乗れていない

ハードウェアの製造販売を主力事業として成長してきた経緯があり、近年主流になってきているクラウドサービスやサブスクリプション型サービスへの移行はまだまだと言って良いでしょう。

一般に、シェアリングエコノミーに代表されるように、クラウドサービスは一つの機器のリソースを複数人でシェアすることで、スケールしていくビジネスモデルです。

一方、ネットワーク機器というのは、物理的な回線を含みますので、それぞれの組織で固有に持つというイメージが強いです。ネットワークの領域では、クラウドサービスやサブスク型のビジネスモデルは流行りにくいのかもしれません。

また、既存事業が強すぎる会社はいわゆる「イノベーションのジレンマ」に陥るリスクも高いです。

イノベーションのジレンマとは、社内でイノベーションが起きることで、社内の既存事業を自ら破壊してしまうことを言います。

シスコの場合、仮にクラウドサービスやサブスク型のアプリケーションサービスが流行った場合、それによって主力であったハードウェアが売れなくなってしまうかもしれません。そういった、既存事業を破壊するような技術開発を進めるインセンティブが社内で生まれにくいので、シスコのようにブランドが強く盤石な市場のポジションを握っている会社は、新しいイノベーションには疎いといったことが言えるかもしれません。

今後の事業展望

上記の通り、シスコはハードウェアの製造販売に強いブランドと競争力があり、ネットワークという領域がクラウドやサブスク型モデルとの相性がそれほど強くない、といったことを説明しました。

では今後の事業展開がどのようになるか予想すると、やはり、既存顧客の生涯価値(LTV; Life Time Value)を高める動きをしていくことになるでしょう。つまり、多くの自動車メーカーがやっているように、製品を販売した後のアフターフォローを充実させ、契約の継続や再購入、サポート、その他あらゆるソリューションを提供するというモデルです。

実際に、シスコはここ数年、サービス部門やカスタマーサクセス部門に力を入れています。

シスコの仕事内容

シスコの職種

シスコで募集中の職種には以下のようなものがあります。

セールス部門

  • AM(Account Manager)
    担当企業のニーズの掘り起こしや要求の整理を行い、シスコのあらゆる製品・サービスを活用しながら新しいビジネスモデルやワークフローを提案します。
  • SE(Systems Engineer)
    営業担当とチームを組んで、最新技術を駆使したソリューションを提案するプリセールス職です。最新技術やソリューション事例などについての知識を習得する意欲のほか、顧客ビジネスへの興味や理解力もポイントです。

カスタマーエクスペリエンス部門

  • Consulting Engineer
    お客様の大事なネットワークに対する設計、構築から運用支援まで、一貫してお客様を主体的に考えながら技術サービスを提供する組織です。
  • Technical Consulting Engineer
    顧客企業やパートナー(協力会社)で解決できない高度な技術的問題の調査とソリューションの提供など、主に運用フェーズに特化したトラブルシューティングのサポートを行います。
  • Customer Success
    問い合わせ対応、トラブルフォローなどを行い、導入後の使いこなしを支援するチームです。

新卒の就活生の場合、多くは営業とSEになります。シスコ社内では一番多い仕事になるかと思われます。いわゆる法人営業です。

シスコの日本法人は、基本的にはシスコ製品の日本の卸会社です。そのため、自社製品についての深い知識と理解を持ち、顧客企業の担当営業として、またはコンサルタントとして振る舞うことを期待されています。

営業プロセスとしては、提案書や企画書を作成し交渉や商談をクロージングまで進めるAMと、それを技術的な側面からサポートするSEがペアになって動きます。

実際の販売においては、直接顧客企業に売るのではなく、ネットワンシステムズ、富士通、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ディメンションデータといったシスコ製品のライセンスを持ったパートナーを代理店として販売する販売モデルを取ることもあります。

その中でもシスコは、基本的にはエンドユーザーに対して直接販売するハイタッチモデルを進めています。

現時点では、AM、SE、Consulting Engineer、Technical Consulting Engineerが新卒向けに募集している職種になります。

一方で、前述の展望のところで述べたCustomer Successについても、今後採用人数を増やしていくと予想できます。

部門や職種の名称、新卒向けの募集職種は毎年変わることもありますので、詳しくはシスコのウェブサイトでチェックしてみてください(こちら)。

社員の評価ポイント

やはり営業がメインの会社になりますので、数字は見られます。

クライアントによって、購買力や予算がまちまちですので、それぞれの場合に分けて計画を立て、それに沿った実績を上げることは必要です。

また、数字以外にも定性的な評価もあります。特に先端技術を使ったプロジェクトや、これまでにない試み、大規模なプロジェクトを計画している場合には、計画どおり数字が出ないこともあります。

そういった場合でも、しっかりと計画を立て、海外やダイレクターなどを含めて必要なリソースを巻き込み、クライアントに色々と提案しているという状態が作れれば、数字が揃わなくても評価されるといったこともあるようです。

シスコの働きがいと成長機会

営業職のメリット

大企業では、比較的早い若い段階からクライアントの重職と仕事ができるということが言われますが、シスコも同様です。

シスコでは、若いうちから大企業のCxOと会話することができるというのが、営業職の一番の成長機会になると思われます。

また、コンサルティングを通して、新しい事業にチャレンジする機会もあります。

ハードウェアベンダーという側面から、物を売ることが仕事ではありますが、次世代インフラなど、クライアントとの会話の中から新たな価値を創造したり、クライアントの理想像をストーリーとして描きながら、既存の製品を当て込んでいくような営業スタイルになる社員も多く、コンサルティング能力が身につきやすいです。

そのため、営業職であるからといって決して文系出身の社員だけではなく、文理問わず優秀な人が多いです。もともと技術職から営業職になった人や、他の会社は全部技術で受けたがシスコだけ営業で受けたら受かったという人まで、様々なバックグラウンドを持った社員が在籍しています。

技術職のメリット

SE、PS、TSといった技術職の社員は、シスコ製品のサンドボックスが利用できたり、仕様をコードレベルでレビューできるなど、ラボが潤沢にあります。

技術的な興味や知的好奇心が強い人は、サーバーを占有して使ったり、仮想マシンを立てて色々な検証したりするなどして、シスコ製品についての理解を深めたり、クライアントへの提案に活かしたりといったことができます。

社内にこれほどまで自由に製品を試せる環境がある会社も珍しいです。

先端技術に触れられる

シスコはネットワーク機器の大手企業ということで、5Gやスマートシティ、IoT、コネクティッドカーなど、先端技術を利用したプロジェクト機会も非常に多いです。

例えば最近ですと楽天の携帯キャリア参入に際して、5Gのネットワークに関するプロジェクトがありました。近年で携帯キャリアに参入する事業会社は非常に珍しく、以前ソフトバンクが参入した際もボーダフォンを買収しましたし、キャリアをゼロから立ち上げる瞬間に立ち会えた社員さんは、二度と無い貴重な経験をされたと思います。

自己研鑽の環境

社内で英語を使う機会も多く、英会話については研修補助制度があります。また、資格取得なども基本的に補助してもらえます。

シスコのワークライフバランス

ここまで読んできた方は、シスコのワークライフバランスは良いのではないかと想像されているかと思いますが、大正解です。

まずフレキシブルであるということ。仕事の裁量が大きく、必要なことをやっていれば細かいことはあまり指摘されない文化です。ある程度信頼を勝ち得たあとは、ほぼ自分のペースで仕事ができます。

また、国内であればどこで働いても良いというルールがあります。VPNのサービスを作っている会社なんで、当たり前といえば当たり前ですね。海外も、20日間以内ですがワーケーションも認められています。

シスコの年収と待遇

前述の通り、シスコは他社に見ないレベルの仕事の裁量とワークライフバランスを兼ね備えつつも、年収は高めです。

OpenWorkによると、シスコの平均年収は約1,300万円となっています。

新卒入社すると、スタートは約500万円になります。そこから、5~6年目までは役職が上がる度に約100万円ずつ上昇し、30歳を迎えるころに1,000万円を超える社員もいるようです。

特に営業職は人によって差がありますが、40代のうちには、1,500万円を超える社員も出てきます。さらにその上、2,000万円を超えるレベルの人は限られ、ダイレクターなど重要なポジションに就いた人のみのようです。

また、シスコの特徴として、中途入社の待遇が良いということがあげられます。

外資系企業の特徴になりますが、社内のプロモーションも昇給の理由になりますが、転職をすることによって大幅に給料が上がることも多いようです。

シスコの退職理由

色々な側面で充実した会社ですが、やはり転職でシスコを離れていく社員もいます。

退職理由として多いのは、待遇の不満です。

シスコの待遇は総合的には充実していますが、やはり営業の会社ということもあり、社員によって差が開きがちです。周りの社員に比べ、十分な待遇を得られていないと感じる社員は転職していきやすいです。

また、グローバル企業の事情として、日本法人の業績が非常に良かったとしても、米国本社の業績が悪化し、ボーナス予算が世界的に削られてしまうということもあります。自分の努力とは関係なく手取りが決まってしまうこともあり、不満の出やすいケースになります。

もちろん、不満ではなく、前向きな理由で辞めていく人もいます。

例えば、インフラの経験を活かしてAWSへ転職するといったケースです。シスコはハードウェアベンダーのため、業務のレイヤーでは低レイヤーの仕事が多いですが、「もっとお客さんの事業に踏み込みたい」「アプリケーションや開発をやってみたい」「顧客ビジネスや顧客課題を解決したい」といったモチベーションを持って転職する人も多いようです。

転職先企業としては、クラウドインフラの領域ではAWSやGoogle、セキュリティ領域ではZScaler、他にもエンドポイントやセキュリティ関連でサイバーリーズン、ネットワークのハードウェア企業としてパロアルトネットワークスやフォーティネットなどの競合に行く人もいます。

製品のポートフォリオが幅広いだけに、本人の興味に合わせて転職先のパターンが多いのもシスコの特徴です。

まとめ(ズバリ!シスコのおすすめ度)

いかがでしたでしょうか?

シスコはそのブランド力から業績も安定的でワークライフバランスも良く、待遇も良い、非常にバランスの取れた会社です。

若いうちから大きな案件にも関わることができ、レベルの高い人達と一緒に仕事ができるのも魅力的ですし、風通しの良いインターカルチャーを体験できるのもシスコならではです。

外資系企業にしては社員の在籍年数も長めで、基本的にオススメできます。

一方で、既存事業が盤石であるが故に、新規事業に関わりたいといった方にはあまりオススメできません。そういった方は、インターネットやアプリケーション系の会社のほうがオススメです。

また、プログラムを書いたり技術開発をしたいといった方にもオススメではありません。募集職種を見ていただければ、営業職やクライアントマネジメント系の仕事が中心となります。

以上、興味のある方は詳しくチェックしてみてください!