皆さん、こんにちは。今回は、IT業界とその仕事について詳しくお話します。

IT業界と言っても幅広く、どのような会社で働くか、どのような職種に就くか、どのようなプロジェクトを経験するかによって、日々の仕事は大きく変わってきます。世間一般に言われる通り、IT業界は変化が非常に激しいのは事実です。新しい技術が出てきて追いついたと思えば数年で古くなったり、新しい職種が生まれたり、変化についていくだけでも大変です。それに左右されないために、キャリアを考えるときは長い目線でのビジョンが必要になります。

本記事では、IT業界の主な分類や職種などについて、全体像を解説します。是非、職業選択の参考にしていただければ幸いです。

業態による分類

まず最初に、企業の業態による分類を見てきます。IT企業をその業態によって分類すると以下のようなものがあります。

IT業界の業態

  • ITコンサルティングファーム
  • SIer
  • 事業会社(大手)
  • 事業会社(中小・ベンチャー)
  • スタートアップ

それでは順に見ていきます。

ITコンサルティングファーム

まず最初に、ITコンサルティングファームとはどういった業態なのかを見ていきます。ITコンサルティングファームの代表的な会社には、アクセンチュアや、PwC、デロイトといった通称BIG 4と呼ばれる企業、また中小企業にはライズコンサルティンググループといった総合ファームやブティック(専門)系のコンサル会社などがあります。

 ITコンサルティングファームの主な仕事は、クライアント企業のITシステムに関するコンサルティングを行うことです。例えば、企業のIT戦略立案や新規事業開発、事業のDX推進、業務のIT化、パッケージ導入まで、事業そのものからデジタル技術に関するお悩み相談まで、クライアントの期待に合わせて幅広い業務になります。 

一番のポイントは、クライアントを変革するという点でしょう。IT技術を活用し、クライアントの事業、組織チーム、働き方、何でもいいのですか、既存の仕組みに内在する課題を解決したり、今までなかったもの構築したりします。そのため、仕事の大半はクライアントワーク、つまり請負業務です。究極に言ってしまえば、物を作って提供するという製造販売型モデルではなく、知的労働が大半となり、その価値をいかに高めていくか、クライアントの満足や納得をいかに引き出すか、ということがポイントになります。

最近では、戦略コンサルティングファームもITプロジェクトの実行に関わる部分に乗り出してきたことから、戦略コンサルティングファームとITコンサルティングファームの垣根もなくなってきています。プロジェクトによっては戦略コンサルに近い内容もあることから、クライアントの役員や事業部長といった決済権を持っている人たちと若いうちから一緒に仕事ができることがポイントです。そのため、プロジェクトは少数精鋭チームで動くことが多いです。

ITコンサルティングファームについては、以下の記事も参考にしてください。

ITコンサルティングファームについてはこちら

SIer

SIerはSystem Integrator(システムインテグレーター)の略称で、ITシステムを製造し提供する事業体のことを指します。

システムを製造するためには、まず設計をしないといけませんし、システムを導入するにあたってある程度の業務的なコンサルティングやIT化に関するコンサルティングを行うことも多いです。しかしながら、SIerのビジネスモデルは、システムをいかに品質高く効率的(コストを安く)に開発し、納品するかがポイントになります。NTTデータや野村総合研究所(NRI)、日立ソリューションズなどが代表企業となります。

SIerの仕事は非常に大規模になり、人も沢山関わりますし期間も長くなりがちです。そのため、仕事を受注する時には多層構造になっていることが多いです。クライアント企業の窓口となる一次請け会社のことを「プライム」と呼んだりします。そのプライムの会社がクライアント企業の要件を聞き出し、プロジェクト全体の指揮系統と外注ベンダーの統括を行います。プライムの下には、システムをより詳細に設計開発する二次請けのSIerが入ったり、更にその下に多くのプログラマーを調達するために開発ベンダーが3次受けとして入ることもあります。開発ベンダーは、中国やベトナム、インドなどオフショア企業を使うことも一般的です。

SIerの仕事をひとことで言うと「マネジメント」です。前述の通り、SIerが引き受けるプロジェクトは比較的規模の大きなものも多く、1人の人間がずば抜けた開発スキルを持っていたとしても、プロジェクトをやり遂げることはできません。数多くの技術者を1つの目的に向かって束ねることが重要であり、マネジメント能力が必要になってきます。

SIerについては、以下の記事も参考にしてみてください。

SIer企業についてはこちら

事業会社(大手)

ITコンサルティングファームやSIerは、それぞれITコンサルティングとシステム製造と言う異なったビジネスモデルになりますが、共通しているのはクライアントから委託を受けて働くということです。一方、事業会社でITの仕事をするという選択肢もあります。なお、事業会社とは幅広いですが、ここではコンサルティング会社ではない、商社、製造業、アパレル、自動車、金融など主に消費者向けにビジネスを行っている会社と広義で考えてください。

事業会社でもIT系の仕事をすることは可能です。多くの場合、情報システム部門に所属して社内のITインフラやアプリケーションの保守運用、社内のITプロジェクトの推進等が主な仕事になります。

大手の事業会社であれば作っている仕組みも大きいので、外注先の管理ばかりになるのではないか?と思わるかもしれません。実際に外注先の管理や、社内調整など、マネジメントの仕事が多いのは事実です。一方で、自社で管理しているインフラは自分たちでメンテナンスをしていく必要があるため、ITコンサルティングファームやSIerに比べて、案外日常的に技術そのものに触れているということも多いです。仕事上、多くのシステムベンダーやサービスプロバイダーから直接話を聞くことも多いので、実はITコンサルタントやSEよりも最新技術に触れられる機会も多かったりします。

注意したいのは、同じく技術を扱う職種であっても、事業会社によってはIT部門の社内での立ち位置が低い会社が多いことです。たとえばトヨタのような自動車メーカーであれば、車を製造販売する部門が主要部門として多くの予算を持っており、社内システムを扱うIT部門はどちらかというとコスト部門になってしまいます。もちろん会社によっては社内の技術者を優遇し事業全体のIT化を進めているような会社もありますが、外資系に比べて日系企業の多くは、社内の技術者はヘルプデスクなどインフラ提供が仕事の中心になったりすることから、地位が低いことが多いです。ここは会社によって異なる点でもありますので、OB訪問などで詳しく確認をした方が良いと思います。

また事業会社においては、ITコンサルタントやSEを育成する土壌もないことから、IT部門は社内のローテーションや転職者を中心に構成されることが多いです。新卒で採用している企業もありますが、どういった文化なのかは十分確認が必要です。

事業会社(ベンチャー)

ベンチャー企業もIT系就職の選択肢となります。ベンチャーと言うと文脈により定義が様々ですが、ここでは消費者向けにビジネスを行っている事業会社の中でも特に先端技術やインターネットを活用した事業を行っている中小事業者(またはそこから上場した会社)の事をベンチャーと呼ぶことにします。

ベンチャーの多くはプロダクトを自社開発してるため、エンジニアの採用が多いです。ITコンサルやSEではなく、エンジニアです。これは非常に重要なポイントで、その後のキャリアに大きな影響のある選択になりますが、ITコンサル・SE系の職種を選ぶのか、エンジニアの職種を選ぶのかによって、その後のキャリアが真逆ぐらい異なります。

実際、コンサルタント系の出身の人がベンチャーに転職するケースは多いです。理由として多いのは、クライアントに事業提案していたが実際に自分でやってみたくなった、というものです。人に頼まれてやるのか自分でやるのかはベクトルが真逆ですので、この選択は非常に重要なので慎重に興味や適正判断をしてください。

エンジニアに必要とされるものは技術です。先端技術や最新の開発ノウハウなど、ものづくりに関するスキルや経験が重要となります。もちろんプロジェクトの性質や役割によって、クライアントワークに近いような仕事もありますが、基本的にはものづくりが中心にはなってきます。

クライアントワークと違い、ベンチャーでは自社でその製品の仕様や開発スケジュールを決定して行きますので、クライアントの課題を抽出し解決策を示すといった伴走型モデルではなく、自分たちから積極的に発信をしていく姿勢、コンテンツプロバイダーである感覚が必要です。

プログラムを書くことが好き、システムを設計することが好き、顧客の相談に乗ったり利害調整をしているよりは物を作っている方が好き、といった人は、コンサルタントよりエンジニアの方が向いていると思います。

ベンチャーについては、以下の記事も参考にしてみてください。

ベンチャー企業についてはこちら

スタートアップ

昨今、スタートアップ企業の新卒採用もかなり増えています。よくベンチャーとスタートアップは混同して語られますが、自分たちでプロダクトを開発し顧客に提供している、すなわち請負型ではなく自社開発型という意味では共通しています。 

スタートアップの特徴としては、ベンチャーキャピタルやCVCなどの事業会社から資金を調達し、短期間でプロダクトを成長させることを目指しているという点があります。その文脈で、スタートアップはITというより金融ビジネスと言えます。つまり、短期間で初期投資額を大きく上回るリターンを獲得できるかどうかという観点で利害関係者たちは評価しています。

そのため、使う技術は非常に先端的なものであることも多いです。短期間に成長するためには、競合よりも少し優れているといったレベルのものではなく、今までになかったもの、世の中に存在しなかったものを新たに創造し、他社がキャッチアップする前に市場を作っていくようなビジネスです。スタートアップでエンジニアをするということは、こういったスピード感を体感できる機会は多いでしょう。

かといって、必ずしもスタートアップの全てが先端的というわけではありません。高度なセキュリティ技術や認証技術、ブロックチェーンなど先端技術そのものを技術開発しているディープテック系のスタートアップもあれば、平易な技術を使って何らかの社会課題の解決を目指すアプリケーション開発型のスタートアップもあります。数の割合的には、圧倒的に後者が多いです。スタートアップはその会社規模も様々で、まだ事業立ち上げ直後で社員が数名から10人と言ったシードフェーズの会社から、100億円以上調達し社員数も数百人から1000人といったユニコーンや、上場準備中の会社もあります。

スタートアップでの仕事は、開発しているアプリや事業内容にもよりますが、会社のサイズによって大きく変わってきます。小さな会社は社員が少ないため、エンジニアとして採用されてもデジタルマーケティングやかなり幅広い仕事をする機会があります。一人で複数の役をこなさないと回らないのです。マネージャーも管理者というよりは自分でも手を動かすプレイングマネージャーが多いです。一方、スタートアップでもそこそこの規模になってくると、職種別、役職別採用が進んだりして、組織のヒエラルキーもレポートラインもできてくるので、仕事内容は比較的細分化されてきます。

ベンチャー同様、スタートアップでは創業者がそのまま社長となっているオーナー企業型の会社が多いので、 会社のカルチャーは良くも悪くもトップの人たちの影響を強く受けやすいです。スタートアップを検討する方は、必ず創業者やオーナー本人と面談をし、人間的な相性をチェックしておいた方が良いでしょう。

スタートアップについては、以下の記事も参考にしてみてください。

スタートアップ企業についてはこちら

職種による分類

IT系の仕事には、前章に書いたような会社の業態の軸とは別に、そこで何の仕事をするかという職種の軸があり、それらのマトリックス構造で把握しておくと分かりやすいと思います。ここでは、よく比較されやすい職種を、その違いを見ながら整理して行きたいと思います。

コンサルタント vs IT技術者

最初によく分類されるのが、その仕事はコンサルタントなのか技術者なのかということです。

共通しているのは、コンサルタントも技術者も「コンテンツを提供する人」であるということです。コンテンツというのは、専門分野や特定の経験、知識、ノウハウなどであり、それらを提供することが価値になります。

コンサルタントが提供しているコンテンツは、事業化の考え方であったり、システムの全体設計や構築方法、システム構築でも比較的上流フェーズで検討される業務や事業ゴールの考え方などです。一方、技術者が提供するコンテンツとは、プログラムの書き方やプロダクトの設定方法、通信方式など、ものづくりに関する知識や経験なります。

職業選択を考える場合には、自分が何の専門家になりたいのか、ということを考えると良いかもしれません。事業のIT化やIT戦略全般についての専門家になりたいのでばコンサルタントでしょうし、アーキテクチャや特定の技術の専門家になりたいのであれば技術職を選ぶべきでしょう。

ITコンサル職についてはこちら

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PM vs BA

PM(プロジェクトマネージャー)とBA(ビジネスアナリスト)もよくキャリア選択において比較に上がってきます。大きなプロジェクトの成功には、プロジェクトを推進する役割を担うプロジェクトマネージャー(ないしPMO)と、業務の整合性を評価したりシステムを使う側のマネジメントにフォーカスしたビジネスアナリストの両方が必要です。

PMの仕事は、ほぼマネジメント業務です。マネジメントといっても多岐に渡りますが、人材の選定、配置から、日々のトラブルシューティング、各開発工程の管理、予算の管理まで、幅広い業務があります。

一方BAは、ひとことでいうと業務の専門家です。システムを構築する場合には何かしらシステムで効率化したい業務というものがありますので、業務知識を持って特定の業務の調査したり整理したりする人です。業務知識というのも非常に幅広く、遵守すべき法令に関わるものもあれば、業界の慣習に関わることまで色々あります。IT系職種としてのBAは、実際にオペレーションを行うユーザーとは違い、俯瞰的な目線でその業務を把握、理解し、適切な改革案や変更案を提案することを求められています。

PMとBAは、厳密に分けられていないこともあり、実際にはそれらを行き来しながら、または組み合わせながらキャリアの専門性を高めていくということが多いです。例えば最初は中小規模のプロジェクトのPMOを歴任していたが、そのうち金融系のクライアントが増えてきて、徐々に金融専門のPMになっていくと言ったようなケースです。そこには、業界内における人間関係も関わってきます。PMをやるにあたっては、やはりその業界の特徴を踏まえている方が有利ですし、逆にBAをやるにしてもプロジェクトノウハウがあった方がいいです。

プロダクト vs テック

ベンチャーやスタートアップにおいては、プロダクトの専門家なのかテックの専門家なのか、ということも職種に影響を与える観点としてあります。

製品の付加価値を高めるための活動をしているという意味では、プロダクトの仕事もテックの仕事も共通しているのですが、プロダクト側に立つのかテック側に立つのかによって求められる価値は変わってきます。プロジェクト側に立つと言うと、例えばマーケティング活動によってそのプロダクトに必要な仕様を洗い出したり、ユーザーとの関係性を構築したりといったことが仕事になります。なお、プロダクトの仕事は、ユーザーとの折衝はありますが、プロダクトを販売するセールスとは役割上異なります。

一方、テックの役割とは、要求された機能を技術的に実現することです。平たく言えば開発者、技術者のことですが、人の少ないベンチャーやスタートアップでは、単に開発をするだけというよりは、プロダクト側の人達と協業しながら、どういった市場を作っていくべきか、開発側の観点から色々なアイデアを出していったりということもしていきます。

プロダクトの仕事は、そのプロダクトの仕様や位置付け、クライアントについての深い理解が求められることから、テックのキャリアを積んでから転身する人と、セールスやマーケティングなどクライアントや業務側のキャリアを積んでから転身する人、両方のキャリアパスがあります。テックの仕事は、基本的にはエンジニアとして勤務し、そのまま担当するプロダクトの規模や事業領域を広げていく、といった形が多いです。

自分がユーザの嗜好を理解し、それを実現するためのプロダクトを生み出して行きたいと考えるのか、それとも技術に軸足を置いて、要求を具体的に実装していきたいのか、アーキテクチャーなどに興味があるのか、志向の違いによって職選の違いが生まれてきます。

環境や待遇による分類

同じIT業界でも、自分の求める働く環境や待遇によっても、進んですべき仕事内容やキャリアが変わってきます。

スペシャリスト vs ジェネラリスト

組織に必要なのはスペシャリストかジェネラリストのどちらか?という極端な議論も比較的よく目にします。中には、全体的な汎用スキルを持ちつつその中で一つ特化したスキルを持っている「T字型人材」と言われる人たちもいますが、こういった中間的なものはややこしいので一旦割愛します。

スペシャリストとジェネラリストの本質的な違いは、提供するものがコンテンツなのかマネジメントなのかということになります。コンテンツを提供するスペシャリストは、特定の分野について非常に深い知見を持っており、その分野の専門家としての振る舞いが期待されます。よって、日々の業務を通して自分の持つコンテンツをアップデートしていくことが求められます。例えば、フロントエンド開発のスペシャリストであれば、Node.jsというJavaScriptのウェブフレームワークについて、そのバージョンの違いや様々なアプリケーションとの互換性等について詳しいこと、または調査したり検証したりするスキルを持っているということが求められます。

一方でマネジメントを提供するジェネラリストは、特定の分野についての経験が深いというよりかは、事業全体や組織の運営に際し、その場その場で必要と思われる機能やリソースについて検討したり提供したりすることを通して、組織全体に貢献して行くような振る舞いが求められます。自分だけですべてを解決することが困難であることも多く、チームのマネジメントなど他人と一緒に仕事を進めるスキルを求められます。

スペシャリストになっていくのかジェネラリストになっていくのかには、色々なケースがありますが、ITコンサルやSEとしてキャリアをスタートすると、大体8年目から10年目くらい、年齢でいうと30歳前半から後半頃にかけて、その後をスペシャリストとしてやって行くのかジェネラリストとしてやっていくのかを求められることが多いです。もしそれまで築き上げてきた業界知識やコンサルタント、技術者としてのノウハウをもとにより専門性を磨いていくという場合にはスペシャリストとして複数の会社を渡っていくような人もいますし、特定の組織に長く属してチームのマネジメントを中心に、ジェネラリストやマネージャーとしてキャリアアップしていく人もいます。

これは、一度決めると変更できないというわけでもありませんので、新卒の段階から自分がスペシャリストとジェネラリストのどちらになるかを決めておく必要はありません。巡り会うプロジェクトやクライアントによって興味が変わって来たりもするので、柔軟に考えてOKです。

しかしながら、コンテンツというものは常に新しくなって行きますので、スペシャリストとして行く場合には頭の柔軟な若い人たちがどんどん入ってくる分野については、長くキーマンで居続けることは厳しいのが現実です。もちろん、居続けられますが、単価が下がっていくというということになります。一方ジェネラリストの場合は、組織が変わってしまうとこれまでのマネジメントスキルが全く活かせないということも発生する可能性があります。選択は、一長一短となります。

年収 vs ワークライフバランス

給料が高い方がいいのか働き易い方がいいのか、という観点もあるかと思います。イメージとして、高給取りは忙しいということがあると思います。確かに、同じ時給では沢山働いた人の方が給料が良いのは当たり前なので、全体的にはこの傾向はあると思います。

しかしながら、年収やワークライフバランスを決めるのは個人の労働力だけではありません。むしろ、最も影響を与えるのはその業界、企業の収益構造です。収益性の高いビジネスモデルでは、人件費をかけなくても大きな利益が出て、従業員1人に対して多くを還元できます。例えば、Googleの広告モデルは収益性の高いビジネスの一つですが、完全にプロダクトが出来上がっており、顧客の方から使いたいと勝手に集まってくる仕組みなのでセールスは不要ですし、しかも広告は継続的に発生するため顧客1人が投下する金額は大きく、更には運用がほぼ全自動となっています。こういったモデルが構築できている会社で働くと、高い年収を得つつもワークライフバランスがずば抜けて良い、ということも起こりえます。それだけ、入社難易度が高めではあります。

いやいや自分はもっと頑張ってお金を稼ぎたいという人は、インセンティブ割合が高めのコンサルティングファームなどで働くのが良いと思います。つまり、営業成績によってボーナスが大きく変動するような会社です。こういった会社では、頑張れば頑張っただけの評価を受けられるという意味では合理的と考えられますが、成績を上げたいがために難度の高い仕事にチャレンジしたりして、あまりプライベートの時間を持てていないような人もいます。こればかりは個人の嗜好次第かと思います。

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まとめ

IT業界について、業態から職種など、仕事選びに関して重要と思われるポイントについて解説してきました。

まず大きくは、クライアントのために仕事をするのか、自社のために仕事をするのか、ここを決める必要があるかと思います。クライアントのために仕事をする、自分ではなく他人の問題解決を支援していきたいという人は、コンサルティング会社やSIerが向いています。一方で、自分でコンテンツを作っていきたい、サービスを開発したい、事業開発をしたいということであれば、事業会社やベンチャーが向いています。

更にその中で、何らかの専門性を提供するスペシャリストになるのか、はたまた組織の潤滑油や推進役となるジェネラリストになるのか、という選択肢があります。

どれが正解というわけではなく、また一度決めれば変更できないということもありません。色々経験して、理想とするライフワークに近づければ良いですね。就職活動でOB等に話を聞くときには、その人がどういった事業体の会社で、どういった役割をしているのか、といったことを踏まえて話を聞くと、その人の話をより立体的に理解できるようになると思います。

それぞれの業界の分析については以下のリンクにありますので、よければ参照してみてください。

業界分析についてはこちら