アクセンチュアってどんな会社?評判から仕事内容、採用情報、年収、待遇まで徹底研究!
この記事では、アクセンチュアを徹底解剖します。
ご存知の通り、アクセンチュアは就活生にとても人気の会社です。経営コンサルティングからシステムコンサルティング、システム開発運用まで、上流から下流まで全てサポートしている会社です。それもあって、社員のバックグラウンドは様々で、色んなタレントを持つ人たちが働いているので、一概にアクセンチュアはこういう会社だ!と言えないのが実情ではあります。
とは言え、他社との比較も交えながら、具体的に解説します。アクセンチュアに興味のある人は是非参考にしてみてください。
アクセンチュアってどんな会社?
労働集約型モデルに完全シフト
冒頭でもお伝えした通り、アクセンチュアはこんな会社ですと一言で表すことは難しいですが、規模の大きなファームであることは間違いありません。グローバルの社員数は50万人を超えており、インドや中国にはものすごい数の社員がいます。
日本法人の社員数は約1万5,000人となっています。10年前が約4,000人ほどでしたので、この10年で約4倍にまで拡大しました。それでもなお拡大しており、執筆現在で恐らく年間2,000人ほどは増えていると思われます。
2,000人増えているというのはとてつもない数字です。というのも、辞める人もかなりの数いる中での純増2,000人ですから、採用数でいうと更に多くに内定を出しているということになります。
ここまで社員数を増やしているのにはどのような背景があるのでしょうか?それは、労働集約型のビジネスに完全シフトしているということです。つまり、人がいればいるほど儲かる構造になっているということになります。
冒頭でお話した通り、アクセンチュアは戦略からシステム、運用、更にはクライアントの業務をまるっと引き取るBPOまでやっています。特にBPOは基本的に日々のオペレーションを代わりに実行してあげるモデルですので、労働集約型になります。社員を雇ってクライアントへの割当数を増やせば売上が増加していくことになります。
膨大な知見やノウハウ
アクセンチュアはとにかく社員数を増やして事業を拡大しているという話をしましたが、それによって何が得られるかというと、膨大なコンサルティング事例や業界の知見です。
クライアントの立場からすると、特に日本は前例のないことはやりたくない風潮が強いので、いくら優秀なコンサルタントが提案することでも、実例がないと実行に移される可能性は低いです。逆に言うと、コンサルティングを提供する側に立つと、クライアントを説得するためには実績が非常に重要ということになります。
その点、アクセンチュアは規模が大きいので、色んな業界の色んな実績がすごい勢いで溜まってきます。これが新たな案件の呼び水となり、それがまた実績となり、好循環が生まれて行くのです。
仕事の幅は広い
そのため、アクセンチュアに入ったら色々な仕事をする可能性があります。
募集されている職種も幅広く、戦略コンサルタント、ビジネスコンサルタント、デジタルコンサルタント、データサイエンティスト、・・・、と沢山あります。とはいえ、基本的には戦略、ビジネス、ITの3つの要素で解釈すれば良いかと思います。
また、エンジニアも採用しています。もはやコンサル会社なのかも怪しいです。
就活生からすると、これだけ多くの職種があるのが意味不明だと思いますし、実際に入社後ギャップを感じる人も多いようです。というのも、これだけの職種があっても、実際にアクセンチュアの事業のトップラインを伸ばしているのは、ITソリューションだからです。つまり、どんな職種で入っても、結局はSIやシステム関係の仕事がアサインされることが多いです。コンサルタントを目指して入るなら、規模として大きすぎる会社かもしれません。また、エンジニア職を選べば、その仕事内容はいわゆるSIerとほぼ同じです。
特にわかりにくいのはビジネスコンサルタントで、ビジネスとあるので、業務コンサルからIT、BPOまで何でもありです。実際に数が多いのはITプロジェクトなので、結果的にITコンサルタントですよねということも多いです。入社後にこのミスマッチを理由に辞めていく人は多いようです。
アクセンチュアの組織、社風
前述の通り、近年の急拡大により社風も変わってしまったようですが、以前からずっとあるのは「トークストレート」という文化です。
何かに忖度せずそのまま伝えましょうという意味ですが、正しいと思ったことは、その人のタイトルや職種等に関わらずしっかり伝えることを良しとするカルチャーです。
また、従来よりコンサルティングファームとして、コミットメント重視のカルチャーではあります。クライアントにコミットするとか、プロジェクトや仕事を最後までやり遂げるという意味で流行った言葉です。以前は9時9時運動というものがあったそうで、つまりみんな残業せず9時には帰りましょう、というキャンペーンなんですが、今からすると9時って十分遅いですよね?って話なんですが、一昔前は体育会系の文化が根強く残っていました。
最近では組織も拡大し、社員の多様性も広がったので、一部のコミットメントといった文化は少しずつ抜けつつあると聞きます。残業時間の上限も厳しくなり、月間90時間だったのが80時間、60時間となり、現在では45時間以上勝手につけると問題になったりするようです。
アクセンチュアの強み、弱み、展望
規模のブランド力が強み
アクセンチュアの強みはやはり規模からくるブランドでしょう。規模が大きいだけで、存在感や知名度は増しますし、特にITの分野でコンサルティングといえばアクセンチュアというブランドを完全に築き上げていると思います。
就活マーケットにおいてもこのブランドは非常に強く働いており、現在では新卒だけも600人以上採用したりしているようです。
ビジネスモデルの柔軟性に弱み
急拡大していることが逆に弱みにもなります。というのも、現在の急拡大を支えているのはDXなどコンサルタントやエンジニアの労働集約型のビジネスモデルが完全にワークしているからですが、ややバブル気味であると指摘されることもあり、この状況がいつまで続くかはわかりません。
また個人にとってみても、これまでアクセンチュア出身者は優秀で組織へのコミットメントが強いと認知されていたのが、数が増えすぎて社員の能力やスキルセットもピンキリになり、アクセンチュアというブランドだけでは具体的な説明にならなくなってきています。
現在のDXバブルが過ぎ去った時に会社としてどうなっていくのかはやはり気になります。
トレンドに左右されない事業の安定化を目指す
DXバブルが過ぎ去った後でも今の大規模な体制を維持するために、どのような具体的な取り組みをしているのでしょうか?
その一つは、クライアント企業とのジョイントベンチャーです。例えば、アクセンチュアは関西電力とK4 Digitalという法人を作りました。公式ウェブサイトによると、事業内容はデジタル技術を活用した事業創発等とありますが、アクセンチュアからすれば、デジタル技術だけであれば自社のみで取り組めるわけで、その意図は関西電力のDX関連の案件を全て取り込みたいというものです。関西電力からすると、社内にないリソースを外部委託ではなく自社として取り込めるというメリットもあり、まさにWin-Winなビジネスです。これによって、ある程度の景気の波があってもアクセンチュアは関西電力から一定量の受注を維持することができます。
このモデルはアクセンチュアがとりわけ新しいわけではありません。NTTデータなどはずっと前からこの方法を繰り返し展開してきており、最近でもりそな銀行、IBMと一緒にFintechの会社を作りました(FinBaseのサイトはこちら)。NRIもKDDIと組んでいます(KDDIデジタルデザイン)。新しい法人を立てたら、売上を作らないと会社が維持できないわけですが、やはりグループ会社からの受託が当面の仕事になることが多いので、お金の流れとしては安定します。
この事業はクライアント企業のIT部門をまるごと取り込んでしまうわけですから、コンサルティングとは全く異なるモデルになります。仮に不景気になってDXが縮小したとしても、そこに大量に人を送り込んで収支の調整をしたり、事業の幅は広がります。
アクセンチュアの働きがいと成長機会
アクセンチュアは勢いのある会社であることは間違いありません。社員数が激増していることも含めて、そういった勢いのある会社で働くということはやりがいの一つになり得ます。
アクセンチュアの仕事
具体的な成長機会という意味でお話すると、急拡大前のアクセンチュアであれば、1年や1年半といったスパンで参加するプロジェクトが変わり、色々なポジションにアサインされ幅広い経験が積めたということはあります。ただ今は、システム開発の案件が中心になっているので、プロジェクトの期間も長期化し、同じ仕事を5年していますといった社員も増えてきています。
同じ人が同じポジションに居続けることは、会社のビジネスとしては安定している証になりますが、個人として経験の幅が狭まってしまうことは言うまでもありません。
また、仕事の幅が広いということはお伝えしてきましたが、幅が広くて選択肢が多いという反面、アクセンチュアにおいてこういうスキルを身につければ正解といったことがないことも事実です。たとえばITコンサルとBPOでは仕事で求められることが全く異なります。そのため、社員の育成計画という面では、あまり個人にフォーカスされたプランがなく、自分で考えて仕事を選ぶ、場合によっては転職も含めてキャリアを考えて行く必要があると思われます。
一方で、社内の人事異動、部門を変わったりできる制度は充実していますので、そういった制度をうまく利用して、自分で考えて計画していくことができれば、良い経験になると思います。会社は制度を準備していますが、個々人のキャリアの面倒まで見てくれる環境ではないので注意が必要です。
社員の評価の仕組み
前述の通り、アクセンチュアではプロジェクトの幅、仕事の幅が広いので統一的な育成計画やキャリアパスがないとお伝えしました。ではどうすれば年収を上げていくことができるのでしょうか?
アクセンチュアでの評価は、基本的にはプロジェクト側で出した評価を集計して部門の評価とし、その部門に所属する社員の評価に振り分けられます。実際のところ、個人の評価のほとんどがプロジェクトの評価から来ることになります。したがって、個人の評価はプロジェクトに大きく依存します。
この場合の最適戦略は、まず評価されやすいプロジェクトに参画すること。次に、与えられた仕事を頑張ってリーダー、アカウントマネジャー、スポンサーとそのプロジェクト内でのランクを上げていくことです。このように考えると、コンサルティングファームというよりは、SIerやその他一般の事業会社とよく似た戦略になります。
ただし、評価されやすいプロジェクトが必ずしも個人にとって成長できたりスキルを身に着けたりできるプロジェクトとも限りません。評価されやすいプロジェクトとは、結局のところ利益の大きなプロジェクトです。つまり案件の難易度に関わらず、クライアントと良い関係が気づけており継続的に利益を叩き出している部門になります。一方で、スキルを身につけるためには、先端技術に触れたり、クライアントの品質基準が厳しいプロジェクトをやり遂げたり、そういったものになりますので、選択するときは先のことも考慮しておく必要があります。
自ら行動を起こさず、たとえばシステム運用ばかりしているプロジェクトに配属され3年が経過すると、コンサルタントとしてのスキルはほぼ身につかないことになりますが、それでも会社は責任を取ってくれません。運用のプロジェクトからすると、同じ人が長くいてくれることは有り難いわけで、優秀な人ほど離そうとしないでしょう。ですので、キャリアを真剣に考えるのであれば、社内の制度を使って、自分でしっかりと声を上げて活動する必要があります。
この傾向はアクセンチュアのみならず、大手のITコンサルには似たような特徴があります。とにかくプロジェクトの収支は短中期目線です。一方で、個人のキャリアは中長期目線です。この折り合いをつけることが求められます。
アクセンチュアのワークライフバランス
アクセンチュアのワークライフバランスについてですが、結論から言うと、若手にとっては良いです。
全体としても良くはなってきているようですが、労働時間が減っても仕事量が劇的に改善するわけではないので、結局そのしわ寄せが中間管理職に来ることになります。スタッフは残業させられないので定時で上がらせて、明日の期限に向けては管理職が頑張る、というパターンはよくあります。マネージャーの仕事が、どんどん増えているという状況です。
つまりは、生産性が高いチームであれば、時間も余裕もできて良いサイクルで仕事ができますが、そうでないチームはマネージャーが過労で大変です。そのため、社内では良い部下が配属されるかどうかで忙しさが決まるので「部下ガチャ」と呼ばれることも・・・。特に最近では大量採用のため、やはりミスマッチで入ってくる人も多いからです。
かといって、中途採用で入ってくる人も同様に、新卒以上に色々なバックグラウンドを持っているため、基本的にはマネジメントが大変です。
結論としては、管理職になるまでのワークライフバランスは良いが、管理職以上のワークライフバランスはあまり良くない、ということになります。
アクセンチュアの入社理由と退職理由
多い入社理由は「潰しがきく」
アクセンチュアに入ってくる人は、コンサルタントとしての志が高い人も多いです。大量採用を始める前は、そこそこ激務も覚悟の上で早く成長したいがために、またはその後起業したり経営者になるためのステップとして入ってくる人も多かったです。
最近多いのは、特定の事業会社に行くと10年後どうなっているかわからないので、なんとなく潰しの利きそうなコンサルタントになりたいという理由が増えているようです。
中途採用に関しては、数としてはSIerから転職してくる人が多く、その多くは給与アップといった待遇面を重視しているようです。SIerに比べると上流工程に関われることが多いこともあるようです。
退職理由は様々
退職する人は、仕事のミスマッチ、雰囲気が肌に合わない、上司と反りが合わない、能力的に期待値を超えられない、など様々のようです。
アクセンチュアは仕事の幅は非常に広いので、プロジェクトが合わなければ別のプロジェクトに異動することも可能ではありますし、受け皿は沢山あります。それでも、プロジェクトを転々として、合わないので転職するといった人もいます。
また、年齢が上がってくると家族を持ったりすることがきっかけで、管理職以上はワークライフバランスが保てないという理由で退職する人もいるようです。
もちろん、キャリアアップで転職していく人も多いです。コンサルティングをやりたかったが実際にはシステム開発ばかりなので、コンサルばかりやっている会社に転職するといったケースもあります。転職先としては、Big 4や戦略ファームも多いです。
アクセンチュアの年収
アクセンチュアの年収は、他のコンサルティングファームと大きく変わりません。
新卒で入ると、恐らく400万円台から始まり、残業代がつくので年収では600万円程になることが多いようです。
昇進してコンサルタントになると、700万円台から800万円程になります。コンサルタントは大体3~4年の経験が必要です。
マネージャーになると、コンサル職なのかエンジニア職なのかによっても変わりますが、コンサル職の場合は1,000万円を超えてきます。マネージャーは、コンサルタントとして更に3~4年程の経験が必要です。
その後、シニアマネージャーになるためには少しハードルが高いので、マネージャーで長く残っている人もいます。シニアマネージャーに昇進する人は、マネージャーとして最低約3~5年の経験を積んでいることが多いようです。
以前は「Up or Out」とも言われたように、同じポジションでStayすることが難しかったようですが、最近はプロジェクトの幅も広いので昇進できない人も色々な仕事の受け皿があるようです。
まとめ(ズバリ!アクセンチュアのオススメ度)
ズバリ!独断と偏見によるアクセンチュアのオススメ度ですが、「SIerかITコンサルか迷ってる人には良い」です。
アクセンチュアはとにかく仕事の幅が広いです。やりたいことが明確である人は、やりたいことができないリスクも高いため、強くオススメできません。
一方で、コンサルタントになりたいけどテクノロジーも興味がある、ITやBPOとか幅広くできる環境が良い、といった興味の広い人にとっては、まず大手であるアクセンチュアに入って色々な経験を積むのは良いと思います。とはいえ、ある程度イメージを持って入社しないと、運用プロジェクトを長期間するといったことになると、転職市場で価値の高いスキルが身につかないので、主体的なマインドが重要です。
採用人数も多く、間口が広いのでミスマッチには気をつけてください。プロジェクトによって仕事内容に幅があるので、OB訪問も1人だけではなくできれば複数人に話を聞くようにしてください。
入社理由にも多かった通り、年収が高いので潰しがきくというのは、実際にあると思います。とりあえず希望業界なので受けておく、ということも就活の戦略上は正しいと思われます。
よく比較されるBig 4については、以下の記事を参考にしてみてください。